新しいモデルが出るたびに一から作り直していないか — 小さな会社の“引っ越せる指示書”

2026-09-04

「せっかく覚えたのに、また新しいのが出るのか」。新しいモデルの発表は、2026年7月と9月に続いています。

先に答えを書きます。発表のたびに一から作り直す必要はありません。PromnyAI ではご相談をいただくと、AIの設定ではなく、うまくいった指示文がどこに保管されているかを先に見ています。

たとえば、朝の社内チャットに「新しいAIが出たそうですが、うちは大丈夫ですか」と届いたとき、聞かれた側も、何を確かめれば大丈夫と答えられるのかが分かりません。

この記事の結論

新しいモデルが出ても、まず確かめるのは指示文です。自社の情報・うまくいった指示文・判断のルールの3つを自社側のファイルに出しておけば、発表があった日に開くものと、確かめる順番が決まります。その確認は、15分でできる範囲に区切ります。

新しいモデルの発表は、月単位で届いている

気のせいではありません。Anthropic の公式ニュースを開くと、2026年7月24日に Claude Opus 5、2026年9月1日に Claude Fable 5.1 と Claude Mythos 5.1 の発表が並んでいます。

発表の速さそのものは、私たちはあまり気にしていません。気になるのは、発表があるたびに、社内で「今の使い方を続けていいのか」と確かめ直す手間が生まれることのほうです。

確かめ方が決まっていないと、そのつど一から調べ直しになります。では、発表があるたびに、本当に何かをやり直す必要があるのでしょうか。

作り直しが起きるのは、指示が誰かの頭の中にしかないから

指示文がチャットの過去ログに埋もれていないかを見ています。埋もれていると、書いた本人は覚えていても探し出すのに時間がかかります。担当者が変われば、同じものをもう一度作ることになります。

先月うまくいった指示文を、いまこの場で開けますか。開けないなら、モデルを見直す前に、置き場所を見直す番です。

よく聞かれること

「新しいモデルに変えないと、うちだけ遅れてしまいませんか」

変えるか据え置くかを決める前に、今の指示文がどこにあるかを確かめます。手元に出ていれば、変えるときも据え置くときも同じ材料で判断できます。出ていなければ、どちらを選んでも次の発表でまた同じ迷いが来ます。

汎用のAIと自社専用のAIの選び方は、別の記事「汎用AIと『自社専用AI』の違い」で扱っています。どちらを選ぶ場合でも、先に決まっていないといけないのは置き場所です。では、その置き場所には何を残しておけばいいのでしょうか。

自社側に残すのは3つだけ

PromnyAI では、モデルが変わっても持ち出せるものとして、次の3つに絞ってお伝えしています。どれも新しく作るものではなく、すでに社内にあるものを1か所へ出す作業です。

01

自社の情報。会社概要、料金の考え方、よくある質問。AIに読ませている素材そのものです。

02

うまくいった指示文。そのまま貼り付けられる形で、そのとき出てきた結果も一緒に残します。

03

判断のルール。人に戻す線と、入力しない情報。人が決める部分です。

3つに共通するのは、どれもAIの側ではなく自社の側にあることです。提供元が何を発表しても、そのまま持ち出せます。

02 は、ファイル1枚から始めて構いません。表計算でも文書でも、担当以外が開ける場所ならどこでも大丈夫です。

すでに PromnyAI をお使いなら、プロンプトライブラリをその1か所にできます。その場合も、指示文はそのまま貼り付けられるテキストの形で残してください。形が残っていれば、置き場所を変えるときも持ち出せます。

3つのうち、後回しになりやすいのが 03 です。とはいえ、新しく書くものではありません。小さな会社の生成AI利用ルールの約束1「入力してはいけない情報は何か?」と約束3「最後に誰が確認するか決まっているか?」を、02 と同じ場所へ1行ずつ書き写すだけで足ります。

残すもの置き場所直すきっかけ
自社の情報AIに読ませているファイル一式料金・営業時間・サービス内容が変わったとき
うまくいった指示文担当以外も開ける1か所新しい指示が社内で定着したとき
判断のルール上と同じ1か所人に戻す場面が増えたとき

置き場所と直すきっかけを先に決めておけば、発表があった日に迷いません。では、実際に新しいモデルが出た日は何をするのでしょうか。

新しいモデルが出た日にやる15分

3つが手元に出ていれば、当日は差し替えの確認から始められます。実際に手を動かすのは、次の5つだけです。

  • ・いつも使う指示文を3つだけ選び、そのまま投げる。
  • ・出てきた結果を、02 に残しておいた前回の結果と並べて読む。
  • ・同じ指示で手直しが減ったと感じたら変える。差が分からなければ据え置く。
  • ・変えた場合も据え置いた場合も、日付・試した指示文・判断・決めた人の4つを1行残す。
  • ・社内に「今日から何を使うか」を1回だけ伝える。

4つめだけは飛ばさないでください。「変えなかった」も判断です。残しておかないと、来月また同じ検討を最初からやることになります。

記録の考え方は、別の記事AIチャットボットの設定を変えっぱなしにしていないかで挙げた変更履歴メモと同じです。あちらは日付・変更者・変更箇所・理由・戻す条件の5列でした。モデルの入れ替えでは、変えた箇所ではなく、どの指示文で試して何を決めたかを残します。

ここまでは自社側の話です。提供元の側と、制度の側。この2つについても、見に行く先と開く頻度を先に決めておきます。

更新を見に行く場所を、先に決めておく

更新の追いかけ方をご相談いただくと、見に行く先と開く頻度が決まっているかを先に見ています。担当者の熱心さに任せず、決めごとにしておきます。

提供元は、公式ページで更新を出しています。Anthropic ならニュース一覧、Google Workspace なら機能の追加や告知を日付で並べた release calendar が、その置き場所です。release calendar では、迅速リリースとスケジュールリリースが別々に載っています。

制度の側は、個人情報保護委員会の「令和8年 改正個人情報保護法について」を見に行く先に決めておきます。改正法の概要と、政令・規則・ガイドライン等の整備に向けた検討の状況がまとめられています。自社に当てはまるかどうかは専門家と一緒に見るものなので、ここで決めるのは開く先と頻度だけです。

見に行く先何が分かるか開く頻度の目安
使っているAIの提供元の公式ニュース新しいモデルや機能の発表月1回
業務ツールのリリースカレンダー道具の側の追加・変更月1回
個人情報保護委員会制度の側に更新があるか3か月に1回

頻度は決め打ちで構いません。決めていないと、ニュースを見かけた日だけ慌てて調べ、見かけなかった月は何も見ないことになります。

まとめ:変わるのは外側、残るのは自社側

冒頭の「せっかく覚えたのに」に戻ります。覚えたことのうち、入れ替わるのは操作の細かい部分だけです。自社の情報、うまくいった指示文、判断のルールは、モデルが変わっても手元に残ります。

朝のチャットで「うちは大丈夫ですか」と聞かれたときに、答えるものは決まります。

  • check_circle発表のたびに一から作り直す必要はありません。原因は保管の仕方にあります。
  • check_circle自社側に残すのは、自社の情報・うまくいった指示文・判断のルールの3つです。
  • check_circle新しいモデルが出た日は、いつもの指示文を3つ投げて、前回の結果と見比べます。
  • check_circle「変えなかった」も1行残します。据え置きも判断です。
  • check_circle更新を見に行く先と、開く頻度を先に決めておきます。

3つのうち、今日ひとつだけ始めるなら 02 です。直近1か月でうまくいった指示文を、チャットから1つ探して、誰でも開けるファイルに貼ります。次の発表があった日に、その1枚が効いてきます。

rocket_launchPromnyAIを試してみる

指示文と自社の情報が、担当者ごとのチャット履歴に散らばっている段階でご相談ください。PromnyAI は主要なAIと業界特化のプロンプトを1か所にまとめたプラットフォームです。指示テンプレートを選び、チームで共有する形から始められます。